現在までの記録
長年家裁の調査官を務めたレポーターから、三島由紀夫と殺人犯となった女子高校生に共通する精神の特質に光を当てようとするお話をうかがいます。
精神分析の手法、というより用語を使った文学や文学者、犯罪者の解釈というものは、私見では安直なうえに傲慢に感じられる場合が多いのですが、今回は私のそのような思い込みを修正してくださるだけの力がある、という予感がします。
レポーターからは以下の案内文をいただいております。
【引用開始】
大学の「犯罪心理学」の授業では、締めくくりに実際の事件をいくつか取り上げて、加害者の心理を読み解く試みをしていました。
今回、「しょ~と・ぴ~すの会」で紹介するのは、そのうちの1件で、殺人を犯し精神鑑定で重度の「自閉スペクトラム症」と診断された女子高校生A(2014年の佐世保女子高生殺害事件の加害者)および三島由紀夫です。三島はAと類似の問題を抱えていたと考えているので、Aの犯罪心理の理解を深める目的で取り上げました。
しかし、三島を取り上げたのは、三島を今流行の「自閉スペクトラム症」と決めつけるためではありません。現在、少なからぬ精神科医は、表面的な症状で病気を分類してしまうアメリカ精神医学会の「精神疾患の診断・統計マニュアル」(略称DSM)を金科玉条とし、患者をDSMの図式にあてはめることに汲々としているように思われます。反対に発表で目指すのは、三島の自己分析を援用して「自閉スペクトラム症」を大げさに言えば「脱構築」しようとする試みです。
三島は、同性にしか愛を感じることができず、しかもその愛の形も相手を刺し殺し更に刺し殺されるその相手に自分が成り代わりたいというサドマゾヒスティックなものでした。そして三島は、精神科医・式場隆三郎への手紙で、精神分析療法の一方法として告白が最も有効だろうと考えて『仮面の告白』を執筆したので、小説の内容は凡て自身の体験から出た事実の忠実な屡述であると述べています。
しかし、自身の「気質」を敵と見なして闘っていた筈の三島は、1970年11月25日、「小生とうとう名前どおり魅死魔幽鬼夫になりました。……小生の行動については、全部わかっていただけると思ひ、何も申しません」という手紙をドナルド・キーン宛てに投函し、自衛隊に乱入して割腹自殺をしました。
「しょ~と・ぴ~すの会」では、三島が抱いていたに違いない葛藤や苦悩を参加者の皆さんと共有できたらと考えています。
【引用終わり】
記
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タイトル: 三島由紀夫の闘いと敗北――ある殺人事件を糸口として *テキストとしては三島「仮面の告白」を最も使いますが、作品論ではないので、未読のままの参加でもけっこうです。
2.レポーター : 古川 徹朗
3.日 時 : 令和7年7月6日(日) 午後2時~6時
4.場 所 : ルノアール飯田橋西口店会議室
東京都千代田区富士見2-2-6 今井ビル2F
℡ : 03-5226-6345
飯田橋駅西口より徒歩3分。早稲田通りを左手へ直進、
2つ目の交差点を渡り左手のファミリーマートの上
(下の地図参照)
5. 会 費 : 1,700円(当日徴収)
連絡先:由紀草一 luna2156@mtf.biglobe.ne.jp
