国士舘大学21世紀アジア学部講義レジュメ「個と集団」
小浜逸郎
講義レジュメ1 2018/4/18
「人間とは何か」(1)
Ⅰ. 人間は動物の一種である
① 動物の条件(制約)
a.一個独立の身体と統一された生体組織
b.かたちや仕組みの共通性による「なかま」性
c.成長、生殖、老化、死
d.新陳代謝による生の維持
② 動物はみな「意識のようなもの」をもつ
植物には意識はあるか――アドラー(1870~1937)説
なぜ植物には意識がないのか
Ⅱ. 人間と動物の違い
① 二足歩行とその結果
② 道具を用いる
③ 言葉をしゃべる
④ 人間の意識は「無限」を知る(死の自覚)
Ⅲ. 人間の「身体」は、「意味」を持つ
a.生理機構あるいは内的システムである。
b.自分だけの世界像を成り立たせる「座」である。
c.外の世界との関係を変える手段である。
d. 空間を秩序づける原点(ここ、そこ、上下、左右など)である。
e.たがいに個として交渉しあう手がかりである。
講義レジュメ2 2018/4/25
「人間とは何か」(2)
Ⅰ.「心」とは何か
① 心とは目に見えるものではなく、働き、作用である。
② 孤立しているか、開かれているか――地と図の関係
③ 心とは人と人、人と自然を関係づける働き。相手(他者)との「間」に心は「ある」
Ⅱ.「心」の諸作用
A.知覚(感覚)
①五感
②これから生きる可能性を示す。
③知覚には常に何らかの情緒が伴う。
B.情緒
①気分、情緒、感情、情念、情動
②言葉や行動への準備態勢
C.認識・判断
①認知との違い――「意味」「言葉」に付きまとわれている
②絶対的に客観的な認識というものはない
D.記憶(想起)・予期
①記憶――かつてあったことを今に引き寄せる行為
②予期――まだないことを今に引き寄せる行為
E.理性
①感情を抑制する――社会性の尺度
②理性万能はよくない――じつは感情の奴隷であることも多い
F.意志
①A~Eのうちいくつが動員されて行動の決断に至る状態
Ⅲ.「心」が巻き起こす「やっかいさ」
① 感情の共有が集団のまとまりを作り、外部を排除する。理性の拒否、信念 の対立
② 先人の知恵:荘子、仏教
講義レジュメ3 2018/5/2
「人はなんのために生きるのか」(生きる意味と目的について)
Ⅰ. 人生には「意味」があるのか
① 身近な生活行動ほど「意味」を見つけやすい。
②「人生全体」にその外側から「意味」や「目的」を背負わせることには無理がある。
③ あらかじめ意味が与えられているのではなく、創り出すもの。
Ⅱ 宗教の意義
①「人生全体」の外側から「人生」を意味づける。
②「物語」によって生に伴う不安をなだめる。
③宗教のよい点
a.心の平安が得られる。
b.弱い心を強くする.
④宗教の悪い点
a.不確実な「救い」の約束で人をだませる。
b.宗派争いが生じて、殺し合いにまで発展することがある。
Ⅲ. ニヒリズム(「人生は空虚である」)を超えるために
① 問い方を変える――「意味があるか」ではなく、「どうすれば充実させられるか」
②「物語性」と「必要性」との二重構造について
講義レジュメ4 2018/5/9
「『私』とは何か」
Ⅰ.「私」を「私」にしている三つの条件
① 時間
「人間は精神である。しかし精神とは何であるか? 精神とは自己である。しかし自己とは何であるか? 自己とはひとつの関係、その関係それ自身に関係する関係である。あるいは、その関係において、その関係がそれ自身に関係するということ、そのことである。自己とは関係そのものではなくして、関係がそれ自身に関係するということなのである。」(キルケゴール『死に至る病』、1813~1855)
a. 意識は時間に沿って動く。
b. 自己意識はすぐ前の意識を突き放してとらえなおす。→反省、後悔、学習など。
c. つまり意識Aと意識Bとが関係しあいながら進む運動が、「私」。
② 他者との関係
「人がある好きな男とか女とかを実際上持っていないとき、自分はどういう人間かと考えるのはまったく意味をなさないことではないのか。」(小林秀雄『Xへの手紙』、1902~1983)
「もし自己と他者がさいしょから孤立した主観性であるなら、われわれは孤独を感ずることさえないだろう。われわれは根源的に他者と結ばれた存在であり、他者を介してはじめて自己として存在しはじめたからこそ、自己を独立の主観性として意識すればするほど、ますます孤独を感ずるのである。」(市川浩『精神としての身体』)
a. 私たちは生まれた時から「他者」に取り巻かれている。
b.「他者」と付き合うことで初めて「私」の輪郭が生まれる→愛情、言葉、交渉。
c.「孤独」とは、他者との関係を欠いた「あまりよくない」特殊状態。
d. 一人でいる時にもじつは他人とかかわっている。→内言、独り言、気配り。
③身体
「人はおのおの身体をもち、その身体ゆえに他者と隔てられた「個体」であるという側面をもつと同時に、逆にその身体そのものにおいて他者と通じ合うという側面をも合わせもっていると言わねばなりません。人間の身体には、人をそれぞれに分け隔てる「個体性」と、人どうしをたがいに結び合わせる「共同性」とが二重にからまりあっているのです。」(浜田寿美男『発達心理学再考のための序説』)
a.「私」の身体のあり方
|――個体性
身体――| |――相補性(能動・受動のやりとり)
|――共同性―――|
|――同型性(相手のなぞり)
講義レジュメ5 2018/5/16
「人間関係のあり方を二つに分ける」
Ⅰ.「私」はどんな集団に属しているか(アイデンティティ)
① 家族:最も基礎的。人格形成の培養地。
② 親族:婚姻関係の重視。かつては相互扶助機能が強かった。内外の紛争の種。
③ 学校:知識・技能の育成の場だが、近代以降の重要な人間関係形成の場でもある。
④ 地域:村落共同体の相互扶助機能。都市社会化に伴ってその意味が薄れる。
⑤ 職業:社会人として認められるための具体的な印。 "What do you do ?"
⑥ 国家:領土、慣習、文化、言語などの同一性を中心に作られた公共体。最も抽象的。 ⑦階級、宗教、人種、民族、語
族、人類:国家の同一性と重なり合わない。
Ⅱ. 集団のまとまり(共同性)についての説
① ヘーゲル(1770-1831):ドイツの哲学者。
a.家族・市民社会・国家→より自然な共同性からより観念的な共同性への発展。
b.この説のよい点:個人の成長過程に見合っている。国家の役割を的確に指摘。
c.この説のよくない点:原理の違う共同性を強引に結びつけている。
② テニエス(1855-1936):ドイツの社会学者。
a. ゲマインシャフトとゲゼルシャフト:血の通った共同性と利害中心の冷たい共同性。伝統社会から近代社会への発展にと
もなって前者から後者へ移行してゆく。
b. この説のよい点:二分法で二つの社会の特徴をわかりやすくとらえている。
c. この説のよくない点:①と同じ。「移行」は必ずしも起きていない。
Ⅲ. 人間が作る二つの関係の原理
① エロス的関係
a. 個体(身体)を「特定のこの身体」としてとらえて気にかける。
b.それぞれは、固有の名前をもち、かけがえのない存在として関係を作る。
c. この関係は、人間関係として第一次的、自然的。
d. この関係は、情緒の絆で結ばれる。外に目的を持たない。
e. 具体例――親子、兄弟、夫婦、友人、恋人その他。
② 社会的関係
a. 個体(身体)を「一般的な身体」としてとらえる。それぞれの個体には「社会的役割」が配分される。
b. この関係にかかわる個体は、相互に取り換えが利く。
c. この関係は、人間関係として第二次的、間接的。
d. この関係は、ある合理的な目的のために人為的に結ばれる。
e. 具体例――企業の職場関係、軍隊・政党・政府などの組織における関係その他。
③ エロス的関係と社会的関係の関係
a.「社会」は「エロス」だけでは生きられない人間のあり方を補完するもの。
b. 生まれたときはエロス的関係のみ。しかしこれは多かれ少なかれ挫折を味わう。
c. 人間は、みな二つの関係を背負って生きる。
d .二つの関係領域は相互に混じり合う
*例:家族関係(エロスが主、社会が従)。職場関係(社会が主、エロスが従)。
講義レジュメ6 2018/5/23
「エロス的関係の区分――愛とは何か」
Ⅰ.「愛」の定義
①「愛」という言葉は、質のちがった面に多用される
例:マザー・テレサと、恋愛
② 高揚感情が共通している。
③「愛」とは、ひきつけられた対象(相手)に向かって心身を投げ出して一体化しようとする感情。
Ⅱ.「愛」の分類(対人関係に限る)
① アガペー(博愛、人類愛)
② エロース(性愛、恋愛)
③ ストルゲ(情愛、親子愛)
④ フィリア(友情、同志愛)
*①と②③④との違い:①は対象(相手)が一般的抽象的、②③④は具体的・個別的
ヒューム(1711~1776)の『人性論』:「まったくの純粋な人類愛、つまり各個人の地位、職務、自分自身との関係といったものとかかわりのない人類愛のような情念は人間の心にはない、ということである。たしかに、どんな人間でも、また実際、どんな感受力のある存在でも、その幸、不幸がわれわれの身近に置かれて、生き生きとした色合いで示されるときには、ある程度われわれの心を動かすのは事実である。しかしながら、こうしたことはただ共感からのみ起こるのであり、人類へのそういう普遍的な愛情の証拠にはならないのである。」
⑤ 後者の三つの特性
a.性愛(恋愛)――発情期の喪失。生殖目的からの自立・逸脱
b.親子の愛(情愛)――「分身-帰属」の原理と「近親相姦の禁止」の原理
c.同志愛(友情)――生活や仕事を共有したものの間に芽生える価値観の共有
Ⅲ.「愛」の多様な形態は、たがいに矛盾しあう
① 一般的抽象的な愛と個別的具体的な愛――難民の子どもを救う医者と彼の子ども
② 親子の愛と性愛――姑と嫁
③ 性愛と同志愛――三角関係
④ 同志愛と親子の愛――戦友とその親たち
講義レジュメ7 2017/11/8
「恋愛感情の特質」
Ⅰ. 恋愛(性愛)感情は本能か
① 本能とは何か――動物が生まれつき持っている能力
② 恋愛についての二つの解釈
a. シニシズム(へそまがり)的解釈――高級ぶっても性欲という本能にすぎない。
b. 自然科学的解釈――人間は遺伝子の乗り物である。
*これらの考え方の共通点と、難点――精神の自由や経験による学習を認めない決定論。人間はもっと可塑的。
Ⅱ. 人間の恋愛(性愛)感情のあり方を決める、生物的な条件
① 発情期をもたない。いつでもどこでも性行動が可能。生殖に必ずしも結びつかない。
② 性的な成熟までに時間がかかる。その時間に「心の付き合い」が侵入してくる。
③ 以上の結果として起きること
a. 好き嫌いが激しい。
b.〈対象)が多様になる――同性愛、少年愛、フェティシズムその他。
c.〈方法〉が多様になる――サディズム、マゾヒズム、痴漢、レイプその他
Ⅲ. 人間の恋愛(性愛)感情の特質
① 強い「えり好み性」と、「時と相手を選ばず」との二重性。
② 「見た目」にも「中身」にも還元されない。「蓼食う虫も好き好き」。
悪人に惚れる女、悪女に惚れる男。
③ 壁があるほど盛り上がる。――片思い、遠距離恋愛、親が許さない、身分の違い。
Ⅳ. 恋愛(性愛)感情は、本質的に不安定
① 自我と自我の向き合い――どの自我も固定した存在ではなく常に揺れ動く。
② 恋愛と神仏信仰との共通点と相違点
a.共通点:どちらも得難い対象として憧れる。
b,相違点:恋愛では憧れの対象が不安定。信仰では憧れの対象が堅固。
講義レジュメ8 2017/11/29
「結婚の意義」
Ⅰ. 結婚とは何か
①排他的な性愛関係を、社会的に承認してもらうこと
②「同棲」や「事実婚」は 子どもの法的な認知など、問題点が多い
Ⅱ. 結婚の意義と効果
① 結婚はなぜめでたいこととされるのか
a.性愛の空間と労働の空間とをはっきり分けることで、平安が保たれる
b.異なる共同体が結合して発展する
c.子どもの誕生によって社会の未来が保証される
②(当事者側)
a.「自分のこれからの生」に具体的イメージを与える(「身を固める」)
b.むやみに他人を介入させない
③(社会の側)
a.個体の限界を超えた社会秩序の連続性を維持する
b.性愛の反秩序性・乱脈さをなだめることができる
c.生まれてくる子どもの養育責任を当事者に課す
Ⅲ. 家族とは何か
① 家族とは:ヨコの性愛関係と、タテの情愛関係(親子)とを核とする共同体的なまとまり(制度的な承認が前提)
② 家族と親族
a.親等の数え方
b.親族の定義(民法)――配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族
c.婚姻が許される親等数(日本)
③ 家族を支える条件
a.一組の性的なカップルが、排他的な関係を時間的に維持すること
b.子どもの養育責任を、当のカップルが担うこと
c.その内部で、配偶者同士以外の性的な交渉が禁止されていること
④ 近親婚はなぜ禁止されているのか
a.遺伝的に悪い因子が出るからという理由は誤り
b.家族どうしの認知の仕組みが崩壊するから。
講義レジュメ9 2017/12/6
「道徳の意義」
Ⅰ.「なぜ人を殺してはいけないのか」という問い
① この問いに対する三つの答と、それに対する反論
a. 自分や自分が愛する人を殺されたくないから
*反論:自分や自分が愛する人を殺されたくないために人を殺す場合もある。
b. 人を殺すと、自分も壊れる。
*反論:壊れない場合もある。良心の薄弱な者。命令に従う者など。
c. 相手を人間と思わないから殺せる。
*そういう場合もあるが、逆の場合もある。怨恨殺など。
② これらの答えに共通する難点――いずれも良心の存在を初めから前提している。
③ 問い方を変える――歴史的、系譜的な問い「なぜ人類は、なるべく人を殺さないほうがいいと考えるようになったのか」
良心は初めからあったのではない。
④ 道徳の起源
a.共同性からの追放の恐怖(個体発達的、人類史的)
b.古代的な罪の概念――共同体全体の穢れ、神の冒涜
c.「やってよい殺人」と「してはならない殺人」の区別
d. 法的に許されている殺人
Ⅱ. 善とは何か(倫理学)
①「快・不快」と「善・悪」とは矛盾するか→カント(1724~1804)の考え方
② ニーチェ(1844~1900)の考え方
③「よい」「悪い」には三種類ある。善・快・優。これらは相互に重なり合う。
Ⅲ.功利主義的な「善」の考え方について
①「最大多数の最大幸福」が善の原理
② 自分にとっての「快」が周囲の人にとっても「快」であるようなあり方を「善」と考える。
③ 個人の良心とは、社会が作るもの。社会なくして良心なし。
④ 取引や仕事・人間関係がシステムとしてふつうにうまく回っている状態が「善」
講義レジュメ10 2017/12/20
「働くことの意義」
Ⅰ.「食うために働く」?
「食うため」がすべて満たされると、人は働くことをやめるか
→ビル・ゲイツ、タイガー・ウッズ、イチローたち
Ⅱ.「社会奉仕」?
① 勤労道徳ははたらく意欲を支えるか――働く気のない人(引きこもり、ニートなど)には無効
② 独裁政治やブラック企業に利用される危険性
Ⅲ. 労働は、社会的な人間関係を形成するための最も基礎的な仲立ちを果たす
① 労働による生産やサービス活動は、ほとんど常に、他人と結びつく活動という意味を背負っている。→「協業」
② ある労働が可能となるために、ほとんど常に、他人の労働の生産物やサービスを必要とする
③ ヘーゲルの労働観
各人が自分の欲求を満たすという主観的な動機にもとづいておこなった労働の投与が、全体としては、たがいに他人の欲求をも満たす相互依存の生産機構を作り出す。
これは、「共同の財産」である。もしそういう共同の財産のネットワークが市民社会にきちんと整っているなら、それによって、だれもが自分の労働を通じて社会から一人前であるとして承認される。それは、慈善や憐憫に頼るような奴隷的なあり方とはちがった、人間的な自立と自由とを実感できる道である。(『法哲学講義』)
④「自分が自分の存在を一個の自立した人間として承認できる」ために必要なこと→他者による承認
a. エロス的承認――利用価値や打算抜きで愛されること。
b. 社会的承認――労働能力を周りが認めてくれること。
⑤ 労働によって得られる他者の承認の声
a. 労働の対価としてのお金――最も重要
b. 業績評価、地位の昇進、顧客の感謝など
講義レジュメ11 2018/1/10
「国家とは何か」
Ⅰ. 国家とは何か
① 国家の三要素→主権、領土、国民
「主権」の二つの意味:国家主権と国民主権
② 国家とは、実体ではなく、共同の「観念」である。
Ⅱ.近代民主主義国家の仕組み(機構としての国家・政体)
① 法による統治
② 三権分立の仕組みとその意義
③ 代議制の仕組み
a. 間接民主制とその意義(直接民主制が理想というのは誤り)
b. 議院内閣制(日本はイギリス型)
c. 二院制とその意義
④ 機構としての国家の役割(意義)――国民生活の秩序と平安と豊かさを保証する。
安全保障、社会保障、資源・食料の確保、産業振興、教育・医療、治安維持、災害防止・対策
Ⅲ.心情としての国家→国民のまとまりを作り、①を下支えする(ナショナリズム)
① まとまりの象徴(国王、国旗、国歌、記念建造物その他)
② 言語の統一性
③ 生活慣習の共通性
④ 文化伝統
Ⅳ.国家という「共同観念」の大切さと危うさ
① 権力が空白になると、たちまち社会秩序や人権が保てなくなる→世界の紛争地帯
② グローバル経済に対する防壁としての役割
③ 共同観念は、外部との関係によって「まとまり」を作る→国家間紛争の危険(外)
⑤ 共同観念は、私生活(市民生活)を超越して構成出来る→統一の維持が困難(内)
⑥ 国民は国家権力が国民の不利益を押しつけないかどうか常に監視する必要がある。
講義レジュメ12 2018/1/17
「戦争は悪か」
Ⅰ.「戦争は悪」という観念を見直そう
①「戦争は悪」の観念が成立したのは意外に新しい
→第一次大戦後、ヨーロッパの厭戦気分(ワシントン条約1922、パリ不戦条約1928)
② 国連は「自衛のための戦争」と「侵略のための戦争」を区別している
→国連憲章51条「加盟国が武力攻撃を受けた場合には、国連安保理の措置を待つ間、個別的または集団的自衛の固有の権
利がある」
③ 人々が戦争を「絶対悪」と見なしていない証拠→戦記物語、格闘技など
Ⅱ.グローバル化はよいことか→かえって戦争やテロの原因を作る
① 経済的利害の対立の鮮明化――資源争奪など
② 移民・難民による文化摩擦と貧困層の拡大
③ カネ(金融資本)の移動の自由による貧富の格差の拡大
④ 過度の貿易自由化による弱肉強食の露出
⑤ 現在の世界の複雑な対立構図→中東地域と東アジア地域、多極化する世界
Ⅲ.「戦争は悪である」が普遍的な道徳として成り立つには
① 世界の現状――グローバル化が進み個人の国家への帰属意識が希薄化している
→Ⅱで述べた要因により戦争が避けられないことが多い→戦争は、悪でもなく、善でもない
② 国家利害の衝突を超越的に処理できる強力な機関(「世界政府」)が成立しないと、戦争は普遍的な「悪」にならない
(世界政府ができると、戦争は国内の犯罪と同じ)